弥勒さま、珊瑚ちゃん。七宝ちゃん。私来たわ。




光陰流れても


     三年ぶりに目に写す仲間の姿。
     変わりしこともあり、またその逆もあり―




再会した仲間達に駆け寄るかごめ。
弥勒の肩に乗っていた仔狐が己の胸に飛び込んできた。
「かごめ!」
「七宝ちゃん!大きくな…ってないわね。」
「?」
「ううん。元気そうでよかった」
「おう、かごめも元気そうじゃな!」
屈託なく笑う七宝を横目に、
恐らく自分とともには年をとってくれないであろう半妖を一瞥した。




弥勒と珊瑚の庵に足を運ぶとそこには珊瑚の愛弟がいた。
「あら、琥珀くんは大きくなったのね!」
「かごめ様!お久しぶりです。」
「本当に立派になって!」
「いえ、かごめ様も色っぽくなりましたね」
「…え?」
「以前から美人だったけど、ますます磨きがかかりました」
「…言動がお義兄さんに似てきたんじゃない?」
「そうですか?はは」
「あは、ははは…」




その草原には、巫女が二人。
老女の方が若い娘に薬草を教えている。
「楓ばあちゃんって長生きよね」
「そうかい?」
「うん。昔テレビで戦国時代の平均寿命は五十歳くらいって聞いた気がするんだけど。
犬夜叉が封印される前に生まれてて、あれから五十年以上経ってるでしょ。還暦くらい?」
「年齢なんて忘れてしまったよ。」
「長生きの秘訣って何」
「そうだね…女を捨てることかね」
「はい?」
「元来巫女とはそういうものじゃ。恋などに現を抜かしていたら霊力も生気も衰えてしまうわい。」
「そ、そう…」
「しかし、もうお主もいることだし、巫女という己を捨て女を取り戻すのもよいかもしれぬな。寿命が縮まるやもしれぬが。」
「…長生きしてね」




かごめと珊瑚は並んで洗濯をしている。
「珊瑚ちゃん、三人も子ども産んだように見えないわ。」
「そう?」
「私の時代の感覚で言ったらね、十代で子供三人なんて信じられないことなの…
晩婚化が進んでるし、十年は早いわよね。むしろ二十年後でもおかしくないかも…」
「…かごめちゃん?」
「あ、ごめんごめん。それにしてもますますグラマーになったわね〜羨ましい」
「鞍馬?」
かごめはごしごしと洗い物をするのに合わせ豪快に揺れている珊瑚の胸元にさりげなく目をやった。
「かごめ様、珊瑚。」
「あ、弥勒さま。」
「何のお話ですか?」
「あのね、珊瑚ちゃん久しぶりに会ったらますます綺麗になったよねって話。」
「やだ、何言ってんの!」
恥ずかしがる珊瑚はようやく先ほどかごめの謎の馬発言の意味を察した。
「特に体型がセクシー…あの、女性らしくなったよね?」
「ああ、なるほど。そうでしょう?」
「うん」
そういって二人はじろじろと珊瑚の体を見る。
「二人してやらしい眼で見るな!」
「あはは、ごめんごめん」
「まぁすべて私のおかげ…ですかね。」
「は?」
「私が毎晩毎晩愛し…」
ばこーーーん
「もうっ変なこと言わないで!!」
そう言うと珊瑚は洗い物を入れたかごを抱え立ち上がった。
「珊瑚ちゃん…制裁もパワーアップしたのね。」
数メートル先で倒れていた弥勒は鼻の下を伸ばしながら体を起こした。
「…こっちは耐性ついてるし…」
かごめが呆れたように弥勒を眺めていると珊瑚が彼に歩み寄り立ち上がるのに手を貸してやっている。
「もう法師さまふざけるのも大概にしてよね。罰としてこれ持って帰って。」
「はいはい。珊瑚の言うことなら何なりと聞きますよ」
「はいは一回でいい」
そっけない口調ながらも、頬を赤らめて嬉しそうな珊瑚と、そんな珊瑚を見て頬が緩みっぱなしの弥勒。
「何よりもパワーアップしたのは二人の絆かもね。」
ふふっと笑い、かごめも洗濯物を抱えて立ち上がった。
そこで大きな泣き声が聞こえた。
珊瑚の背中で今までおとなしく眠っていた赤子が目を覚ましたのだ。
今度は立場が逆転する。
余裕をかましていた夫の方が俄かに慌てだし、妻の方は落ち着いて息子をあやしている。
「幸せ、そうね」
かごめは笑みを深くすると二人の方に走り寄った。
「もう、弥勒さまったら三人目なのにそんなおろおろしちゃって」
「そうは言ってもかごめ様…」
「ね、もっと言ってやってよかごめちゃん。…ねぇ、父上情けないねー」
「珊瑚、子供に変なこと言わないでください」


奈落を倒して三年の時間を経て戻ってきたこの場所。
変わらないことも変わったこともたくさんあるけれど。
それはすべて仲間が、この時代の人々が、
他力本願ではなく、自らの力で前を向いて歩いてきた結果。
四魂の玉の因縁を断つために私はこの時代に来た。
犬夜叉と出会い、仲間と出会い、別れた。
そして再び戻ってきた理由は、ただ一つ。
私が私自身の幸せをつかむこと。



大切な家族と故郷で過ごした最後の三年間、
こちらでみんなが希望を見出していったように、
これからは、犬夜叉と、私と、二人で二人の幸せを紡いでいく。





「弥勒さま、珊瑚ちゃん、私ここに戻って来られて良かった!」





あとがき
お正月っぽくかごめちゃんの新しい生活的な話をUPしてみました。
最後かっこよくポエムってますが、意味不明です。
琥珀くんは法師に似て女性に優しく、珊瑚ちゃんに似て軽く辛辣、みたいなキャラになってたらいいな(え
かごめちゃん視点のはずがすっかり頭は弥珊なようです…
おっぱいはぶるんぶるん揺れてても背中の筋肉使って安定させてるから子供は安眠できるんだ←
珊瑚ちゃんはもしかして二十歳くらいかもしれないけどそこは愛嬌で☆

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